感染者の盾-1
p.m.1:20 チェルノボーグ中央エリア
ケルシー
Raidian、こちらケルシーだ。我々は今中央エリアの境界付近にいる。倉庫エリアの出口から南西へ410メートル、座標は17.67。
そちらは位置に着いたのか? 途中、何か問題は?
「順調だった」?
……我々の推測は見事に証明されたらしい。
レユニオンは遊撃隊を中央エリアの各要衝に配置している。その他のエリアにいるのはレユニオン一般兵とサルカズ傭兵だ。
全てのエリアに戦力を分散投入するのは愚策だ。私がレユニオンの戦地指揮官ならば、精鋭を重要な場所に固めておくだろう。
アーミヤ
先生!
ケルシー
アーミヤ、焦らなくてもすぐに替わってやるから。
ロスモンティス
わ、私も——
ケルシー
……まだ任務があるから、次にしよう。いいな?
ロスモンティス
うん……わかった。
ケルシー
Raidian、アーミヤに替わる——アーミヤ。
アーミヤ
はい!
お疲れ様ですRaidianさん、アーミヤです。
ケルシー
(アーミヤとロスモンティスの様子を見ればわかると思うが……)
(Raidianは、面倒見がよく、特に若年層のメンバーたちに人気の高いオペレーターだ。大人からすれば、彼女の世話の焼き具合はやや過剰に思われるかもしれない。)
(彼女とウマが合わないのは、主に思春期のメンバーだ。)
(パーソナルアイデンティティーを構築する時期特有の性質が、Raidianの振りまく無条件の母性と相容れないからだ。)
(私は基本的に、彼らを同じチームに配置しないようにしている。細かな注意事項はマニュアルにも記してあるから、今後采配をとる際は参考にすると良い。)
アーミヤ
はい……見ました、はい。
その通りです。はい、あれは普通の遊撃隊がとるような布陣じゃないです。どちらかというと……
アーミヤ
そうです! Raidianさん、今ドクターが指摘したように、ここのレユニオンの編成には、ウルサス軍隊の影響が見られます。
そう……厳しい訓練を受けている可能性がすごく高いです。
レユニオンのいわゆる「中枢神経」にあたるメンバーは、ウルサスでの軍事訓練を受けているのかもしれません。
彼らだけが、大勢の感染者に命令を下す力を持っています。
この戦い、簡単には勝たせてもらえないと思います。
え? いや、私は大丈夫です。私もロスモンティスさんも、それに他のロドスの皆さんも……自分で選択してここに来たんですから。
はい、大丈夫ですよ、Raidianさん。私のそばにはDr.{@nickname}もケルシー先生もいますから。
ケルシー
アーミヤ、そろそろ始まるぞ。
アーミヤ
わかりました。ではRaidianさん、あなたとケルシー先生にお任せしますね。
ケルシー
……よし、まずは通信回線のチェックからだ。
R-4小隊、設置した全ての通信機器を起動せよ。
Raidian、ロスモンティスのアーツ展開後10分以内は、特殊な状況と判断される場合を除き、通信の維持に努めてくれ。
だがアーツの継続使用が、君のコンディションに悪影響を及ぼす可能性がある。少しでも酷くなりそうな予兆があれば、直ちに調合した薬を規定量服用すること。
副作用で中程度の眩暈が生じる。君の精神自体には影響はないが、それによって体力が大幅に消耗してしまう。
くれぐれも過度の服用はしないように。10分経過後は、ある程度の断続的な通信で済むようになる。絶対に無理をするな。
苦労をかける……頼むぞRaidian。
ケルシー
ロスモンティス、全ての敵伝令兵の特徴は、Raidianが発信する信号で君の携帯端末に転送される。君はそれを感じ取って、記録するように。
彼らの位置が変更になっても、端末を手放さないように注意しろ。変化した彼らの感覚を掴み、再度それを記録するのだ。
リラックスして意識を外に向けろ、ロスモンティス。自分がこの都市を歩き回っていると想像してみればいい。
ロスモンティス
わかった、ケルシー先生。
ケルシー
アーミヤ、サポートを。
アーミヤ
了解です。
ケルシー
済まない。異常が発生した場合は、君たちのアーツを中断させる。身体に痛みを感じたらすぐに報告を。
アーミヤ
ロスモンティスさん……大丈夫、私は近くにいますからね。
ロスモンティス
うん。準備ができた。私は大丈夫、怯えたりしない。アーミヤも私を怖がらないで。
アーミヤ
怖くなんかないですよ。私たちは一緒です。怯えたりしません。
ケルシー
アーミヤはロスモンティスの感情を安定させようとしている。
直視しない方がいい、Dr.{@nickname}。誰だろうとロスモンティスのアーツが展開する様子を直視することはおすすめしない。アーミヤのように、多くの地獄を経験した戦士以外は……
…………
もっと早い段階で気づいていると思っていたが——
あるいは、君は既にそういう認識を持っているが、まだそれを自分自身で信じられずにいるんじゃないか?
しかし、事実なのだよ、Dr.{@nickname}。
アーミヤの身体が……あるいは精神が経験してきた戦いの記憶は、一個人が容易に耐えられるようなものではないのだ。
だが二人ならば……あるいは三人ならばそれが可能になるかもしれない。分かち合う者が増えれば、個々の負担は軽減される。
Dr.{@nickname}、これは記憶や経験だけに限った話ではない。身体能力や責任なども含まれる。
君がそう望みさえすれば、アーミヤの手を握って分担してやることも可能だ。
いや、今はしなくていい。私たちにはそれとは別に、重要な任務が控えている。
彼女らの仕事が終わるまで、時間を稼いでやらなければならない。
…………
製薬会社としての立場で、問題の原因を追及し、環境に適応し、責任を合理的に分配し、突破口を探す。
通常の戦争と比べて、我々の目標は非常に限定的だ。そして攻撃を伴う任務は、戦争というより外科手術に近いのだ。
戦争を生業にする者が不得手とすることが、まさに我々の専門だ。
ロドスが、中枢区画で遂行しようとしているのは、病巣の根絶だ。今回のような場合であっても、我々が標的を処理する際の基本方針に変わりはない。
しかし病巣を摘出しても、真の病因を特定できなければ、根本的な治癒には至らない。
Dr.{@nickname}、この問題について、君にも少し考えてもらいたいのだ。
――我々にとっての病人とは、誰のことだ?
通常の感染者なのか、ウルサスによって半強制的に感染させられた人たちなのか、レユニオンなのか、それともこの都市全体なのか?
その病根はどこにある?
ケルシー
前にも話したと思うが、レユニオンは都市内の通信設備を管理していない。
今ならはっきりと解るが、タルラは都市内の混乱状態を継続させるために、意図的に天災によって現れた源石群を放置している。
そしてそれは電波通信を著しく阻害する。
たとえ最先端の通信設備であっても、この状況下ではまともに稼働することはできない。
しかし、エリートオペレーターのRaidianの能力を利用することで、我々は混乱した信号を識別できるようになる。
つまり我々は相手より更に高効率な通信能力を持っている。これは戦略上の強みだ。
確かにそうだ。
あの拡声器を背負った伝令兵を目にしただろう。あのような原始的な通信環境で、遊撃隊は暗号化された情報と命令を伝達している。
我々はまだ、この戦場にいる全伝令兵の動向を把握していないが、ロスモンティスがすぐに発見してくれるだろう。
伝令兵が伝達する情報は常に最新とは限らず、距離的制限もある。しかし、劣悪な環境では最も安定し、隊の規律の維持にも有効だ。
ここで質問だ。このシステムの弱点は?
その通り。
だが当然のことながら、指揮者は自身の居場所を隠している。
君ならどうする、ドクター?
正解だ。
その方向で対策を立てようとしている。これは戦術の基本だな。
……
ドクター、ロスモンティスが展開しているアーツによって、全ての伝令兵の現在位置と巡回ルートを特定できる。
彼女は自らの思念を拡散させ、範囲内の全ての対象を捕捉するが、同時に彼女の精神状態は徐々に混乱状態に陥っていく。
そこで彼女の精神を安定させるために、アーミヤをサポートにつけている。
Raidianは我々の通信システムの要だ。彼女のアーツのおかげで、我々は短時間だが妨害を受けずに通信が可能となる。
ロスモンティスによる伝令兵の特定が終われば、我々の行動を開始する。
敵が、我々についてまだ何も知らない状態で。
我々が遊撃隊の通信システムを無力化させようとしていることも、サルカズの巫術に対応する手段があることも、奴らは知らない。
たとえ効果が限定的であっても、それで充分だ。
伝令兵を潰した後は、遊撃隊も即座にそれに対応するだろう。30分もしないうちに新しい伝令兵が補充されることになる。
その後は彼らも、今よりもっと警戒体勢を強めることになる。弱点はまず無いだろう。
同時に、我々の位置と戦術が露見し、アドバンテージを失う。
我々の攻撃チャンスは一度しかない。しかし、この一度の攻撃で、奴らの指揮部隊を引きずり出す。
遊撃隊は、自分たち以外の感染者特殊部隊の存在を想定していないだろう。
以上三つが、我々の戦略的優位点だ。
……こんな時に大口を叩くつもりはない。
Dr.{@nickname}、たとえこの三つの優位点があるとしても、成功の確率は失敗よりも低いだろう。
他のプランの成功確率が更に低いからだ。
……ロスモンティスの捜索が始まる。呼吸を止め、直視を避けろ。
ロスモンティス
――一回目――
三人……見つけた。
アーミヤ
ロスモンティスさん……大丈夫ですよ。もっと私に近寄って。
ロスモンティス
……四人。
アーミヤ
私の手があなたの耳に触れています……私の声も聞こえますよね。大丈夫ですよ。今見えているそれは、全部想像の組み合わせです。あなたは前にもそれを見たことがあります。
ロスモンティス
うん……
五人。
ケルシー
…………
ドクター、怪我するのは嫌か?
三つの作戦小隊は別行動になる。それぞれ異なるエリアで敵の相手をする。伝令兵が無力化し、通信システムが停止しているうちに。
それぞれの小隊における攻撃力の配分も見直してある。心配ない。
さて、今から私についてきてもらおうか。
君のボディガードを信用してくれ。そもそも君に拒否権はないが。
遊撃隊には、ウルサス軍に匹敵するほどの優れた軍備があるうえ、彼らよりも厳しく有効的な規律と戦術を実践している。
そして、サルカズ、ウルサス、リーベリなど、多くの種族が一つの名前の下に集っている。
私の護衛の下なら君は安全だ。ここにいることでロスモンティスが間違えて君を傷つけたり、彼女をサポートするアーミヤが君に気を取られるようなことも避けたい。
私のそばにいれば、無用なトラブルは避けられる。
……待て。
――ロスモンティス?
ロスモンティス
ああ……うう……
ケルシー
Raidian、ロスモンティスの通信を切断しろ。今すぐ!
アーミヤ、彼女の精神状態は?
アーミヤ
でも……私が感じている光景は安定しています。異常は何も起きていません——え? これは……
彼女は……空を見上げている? まさか……落ちて……?
……落ちてる。彼女は落下しています!
ケルシー
体温低下、呼吸数及び脈拍数上昇……エンドルフィン放出レベルが急激に降下——
(首を振る)
Raidianが薬で体力を補うのとは違う。ロスモンティスの使用するアーツは体内環境におけるホルモンバランスを傾かせるが、それを完全に崩すわけではない。
それに注射は、数分以内にホルモン分泌を急激に促進するが、後には内分泌系の重度の障害、更には抑制機能の喪失をもたらすことさえある。
ロスモンティス
私……私を……
私を捨てた? どうして……私を……
――どうして私を捨てたの……?
ケルシー
それは自分の無能さを許す言い訳にもならない。
Dr.{@nickname}、私は、生体機能を損なうような応急措置を他人に施すようなことは絶対にしない。それがどんなに有効でも。
今、ロスモンティスに起こっている問題は生理的なものではない。ならば、彼女自身が解決するしかない。
ケルシー
ロスモンティス。
ロスモンティス、私の手を見ろ。
ロスモンティス
ケルシー……先生……
ケルシー
そうだ。先生の手を見るんだ。
今、先生の手が君の顔に触れている。ケルシー先生が、君の頬に触れている。ほら、先生の目を見ろ。
ロスモンティス
……うん。
ケルシー
ロスモンティス、ケルシーもアーミヤも、君と一緒にいられる時間は長くない。
Outcastも、Miseryも、ブレイズも。みんなそうだ。
だが今は、ケルシーもアーミヤも、ここにいる。
ロスモンティス
うん……うん。
ケルシー
頑張れ、ロスモンティス。前に進め。
アーミヤ
そうです、ロスモンティスさん……こっちに来て。ここです。甲板の上です。
硬いですが……ロスモンティスさん、ここは甲板ですから踏んでも大丈夫ですよ。もう足を踏み外して落ちたりはしません。
ここはロドスです。
ケルシー
私たちは君と一緒にいる。
アーミヤ
私はあなたと一緒にいますよ。
ロスモンティス
――わかってる。
ロスモンティス
……先生……ちょうだい。
……データを。
ケルシー
――ああ。
Raidian、ロスモンティスの端末に再接続。彼女はもう大丈夫だ。
保証する。続けてくれ。
ロスモンティス
――二回目。
七人。
アーミヤ
見えます……
ロスモンティスさんが……立っています。彼女の意識の中で、花が静かに咲いています。えっと……ふわふわしたカゴみたいに、彼女の夢を包み込んで——
アーミヤ
大丈夫です。もう平気ですよ、ケルシー先生、ドクター。
アーミヤ
(えっ……?)
ロスモンティス
ふふっ。
アーミヤの顔が赤くなったよ、Dr.{@nickname}。
アーミヤ
こっ……これはさっきすごく体に力が入ってたから!
ロスモンティス
大丈夫だよ、うん。大丈夫。
もう一度……もう一度。アーミヤ、もう少し前に進もう。感じる。
三回目。
ロスモンティス
……ケルシー先生。見つけた。全員。
ケルシー
よし、準備は整った。
ロスモンティス
うん、ありがとう。アーミヤもありがとう。
アーミヤ
ロスモンティスさん……ありがとうは言わなくてもいいんですよ。自分のすべきことで感謝される必要はありません、私がいつも言っているように、ね?
ロスモンティス
うん。でもあなたは私の手を引いて橋を渡り、あの山の麓まで連れて行ってくれた……雲がとても綺麗だった。
……まだ道のりは遠いけど。
行こう、アーミヤ。一緒に歩き続けよう。
ケルシー
Raidian、各通信兵に接続を分散。君は5分間の休憩を。
アーミヤ、ロスモンティス、通信は切らないように。
アーミヤ
わかりました。では、Raidianさん、先生、ロスモンティスさん……
作戦を開始します。
ケルシー
ドクター、まだ何か聞きたいことがあるのかな?
そんなことが聞きたいわけではないだろう。君が望むなら、もっと厳しくすることもできるが……
……先ほどの君は、運が良かった。
あるいは、ロスモンティスは君が嫌いではないのかもしれないな。彼女は、暴れようとする衝動を自分の意志で抑えた。
私とアーミヤが彼女を宥める様子を、君が好奇の目で見ていた時、一歩間違えば君は、彼女のアーツの実体が見えた瞬間に自分の舌を噛み切っていたかもしれないのだ。
……ロスモンティスは、ある研究所で生まれた感染者だ。
多くの実験体がたどった悲惨な末路とは違い、彼女は実験によって命を落とさずに済んだ。
プロジェクトが進むにつれ、研究所は少しずつ彼女によって破壊されていった……そうだ、彼女が研究所に壊されたのではなく、彼女が研究所を壊したのだ。
彼女のアーツは、精神状態と密接に連動している。それを観測する者の精神も、そのアーツによって過剰な影響を受けることになる。
崩壊した研究所から彼女を保護した組織は、秘密裏にロドスに引き渡した。それによって世間に「『ロスモンティス』などというものは存在しない」という情報を伝えようとしたのだ。
君の考えていることはわかる。もちろん私は、推薦されようが脅迫されようが、そんな境遇を持つ感染者の少女をオペレーターに抜擢することはない。
しかし彼女は自ら、責任と訓練、そして周りとの繋がりを求めて、ロドスのオペレーターになることを望んだのだ。
ロドスの術師たちは、無意識に損害を発生させ続ける彼女のアーツを訓練することにした。彼女は他の者よりも早く成長しなければならなかった。そしてそれは彼女自身の望みでもあった。
我々は彼女を荒野に置き去りにしたくなかった。彼女に抑制薬剤を注射したくなかった。もちろん、彼女の手でロドスが崩壊するのを見ているつもりもなかった。
だからこれが唯一の解決策だった。彼女を放置するわけでも、監禁するわけでもなく、自らの意志でアーツを制御することが可能になるよう、彼女を訓練したのだ。
彼女はアーミヤと似ている部分はあるが、異なる点も多い。わかるかな、ドクター?
では最後まで私の話に付き合ってもらおうか。
彼女たちに共通しているのは、他人のために戦うことを厭わないという部分だ。
そして異なる点とは――
君も知っているだろうが、アーミヤは他人と敵対することを極端に嫌う。たとえ任務に反しようと、涙を流しながら最後まで衝突回避の努力をする。失敗して最終的に敵を滅ぼす結果になっても。
だがロスモンティスの場合は違う……
彼女は、任務に逆らったことは一度もない。どんな状況でも、彼女は命令通りにベストな対応をし、迅速に任務を遂行する。アーミヤとの違いはそこだ。
おそらく君の目に映っているロスモンティスは、理性を持ちつつも理解し難い……殲滅戦特化オペレーターとしての彼女の姿だろう。
彼女がエリートオペレーターになれた理由は、ただ単に各能力値が指標に達していたからだ。それ以外に特別な理由は何もない。
最初に彼女を恐れていた者たちも、その真の姿を理解した後には、喜んで彼女に命を預けるようになった……
その理由は、彼女が皆を守るために自身の持つ力を全て惜しみなく発揮するからだ。
ブレイズが、自分のチームを先頭に立って導くことで、皆の敬意を勝ち取ったと言うならば、ロスモンティスは、皆に支えられながらチームを率いていると言えよう。
皆の期待に応え、そしてそれを上回る成果を出す。彼女はそうやって戦い続けることで信頼を得て来たのだ。
ああ。他にも、使用条件がそれぞれ異なるとは言え、彼女の索敵能力と似たようなアーツを持ったオペレーターはいるが——
ロスモンティスの真価は索敵だけではない。彼女の戦っている姿を君も目にしただろう。
Dr.{@nickname}。ロスモンティスの作戦参加を許可したのは、この戦場に彼女が必要であるという判断からだ。彼女自身もそう考えている。
そして彼女のアーツは、我々が最大の脅威に対抗するのを大いに助けてくれるはずだ。遊撃隊の指揮官——
「レユニオンのパトリオット」に……
ロスモンティス
ケルシー先生、全部で4ヶ所だよ! 廃駅舎、レストランの看板の後ろ、第四高校の前、礼拝堂鐘楼の3階!
ケルシー
了解。
アーミヤ
了解しました! 先生、私は礼拝堂に向かいます!
ケルシー
私たちは第四高校だ。行こう、ドクター。
ケルシー
…………
そのつもりだ。
私とロスモンティスとアーミヤは、伝令兵の無力化に全力を注ぐ。そして君は……
Dr.{@nickname}、君には各小隊の選抜メンバーを指揮し、遊撃隊の足止めをしてもらう。
注意してほしいのは、我々は能力範囲内の戦闘しかすべきでないということだ。
遊撃隊が集結し始めたら、すぐに撤退するのだ。我々は作戦遂行のために来ている。正面から彼らに対抗するのは無駄な行為であり、それが可能かも知れないという妄想も不要だ。
ある程度の長期戦が予想される。我々の戦力も損耗は免れず、敗北する可能性も少なくない。
その時は、感染者にとって更なる暗黒時代の始まりになる。
もし彼らの指揮部隊が現れなかった場合、我々にとってはそれが最も有利な展開になるかもしれない。
その場合は、我々はこのままブリッジと動力制御エリアを制圧し、この都市における感染者の問題を、彼ら自身で解決できるよう陰からサポートする。
だが彼がそうはさせないだろう。遊撃隊の指揮官が黙っているはずがない。
彼は戦況の急転直下も、自分の部隊の崩壊も見過ごさないだろう。今までこの部隊を維持できたのは、単純に力があるだけではない。彼が示した信念は、その呼び名の意に見合ったものだ。
この戦闘が終わり、そのまま順調にいけば……我々は彼の指揮する部隊を相手に、総力戦を余儀なくされるだろう。
あのボジョカスティと、直接対峙するのだ。