戦場救護

ホルン
ハミルトン大佐! あなたはご自分が一体何をしたのか、おわかりなのですか!?
ハミルトン大佐
私が何をしたのか、だと? ヴィクトリアの敵を打ち負かし、我々に貴重な勝利をもたらした、というほかあるまい。
ホルン
本当に勝算があるとお思いですか?
ハミルトン大佐
既に、市庁舎やほかの重要施設を占拠していたクズどもはすべて排除した。こちらの兵士たちが少しずつ都市を奪還しているという報告を君も聞いていただろう?
ホルン
ですが、たとえあなたのお考え通り、亡霊部隊が再起不能に陥り、ヒロック郡の防衛に成功したとしても――
ホルン
ヴィクトリアに不可逆的な損失をもたらしたことは確かです!
ハミルトン大佐
何をわけのわからんことを言っているんだ? ……ああ、そうか。君はまだあの民間人たちの心配をしているんだな。
もう一度言おう、スカマンドロス。これは「戦争」だ。ゆえに、犠牲のない勝利などあり得ないものなのだよ。
ホルン
もっともらしいことを! あなたのターゲットは、初めから地元住民だったんでしょう?
あなたが砲兵大隊に武器を隠させ、ひそかに汚染爆弾を作成するよう命令した時点では、亡霊部隊はまだヒロック郡に侵入してはいなかったんですから!
ハミルトン大佐
やれやれ……君はどうも、噛み付いて離れないつもりのようだな。
ハミルトン大佐
まあいい。どうせ君が邪魔をするチャンスなど巡っては来ない。すべては、順調に進んでいるのだから。
ホルン
順調ですって? 戦火を放って、罪のない人々を大勢巻き込んだこの現状を、あなたは順調というのですか!
大佐。戦争は手段でしかありません。それが目的になってはならないんです!
ヴィクトリアの安全と安寧を守るため、我々は長年、懸命に戦ってきました。なのに、あなたはそれを――数え切れないほどの人々の努力を、たった一瞬で無駄にしたんです!
……よくもこれほどまでに、取り返しのつかないことを。ヴィクトリア軍の御旗の元に、民間人を無差別攻撃するなんて――出自がどこであろうと、彼らは皆ヴィクトリアの公民なんですよ。
ハミルトン大佐
ヴィクトリア公民? 連中はターラー人と名乗っているがな!
ホルン
我々の国にそのターラー人がどれほどいるとお思いですか? 全人口の十分の一? それとも五分の一でしょうか?
ホルン
あなたは彼らが少数派だとお思いなのかもしれませんが――これほど多くの人の心に憎悪の炎が燃えてしまえば、ヴィクトリアを滅ぼすには十分です。
ハミルトン大佐
フン。あんな連中、ヴィクトリア軍に敵うはずがあるまい。
ホルン
そもそも、敵対するべきではなかったと言っているのです!
ホルン
――お読みになっている本からして、あなたは初代アスラン王の偉業に敬意を抱いているのでしょう。ですが、異国から来たアスランを、ヴィクトリアの王たらしめたものは何だと思いますか?
アスランがドラコと休戦協定を結んでいなければ、あるいは、当時のドラコの長、ゲル王が譲歩し、同族王室の決定を受け入れていなければ、今日のヴィクトリアは存在しません!
ホルン
だというのに――あなた一個人の憎悪と敵意のためだけに、ヴィクトリアを再び内戦の危機にさらすことなど、許されるものですか!
ハミルトン大佐
スカマンドロス。今口にしたことは、本気で言っているのか?
君は、本当に――私のような地方駐屯軍の指揮官が、ヴィクトリアの未来を容易く決定づけることができると思っているのか?
ハミルトン大佐
なぜ、ロンディニウムからの連絡が来ないのか……考えたことはあるか?
ホルン
……!
ハミルトン大佐
本来、私はいつでも君を殺すことができた。たとえ君が貴族の出だろうと、「反乱軍の砲火で死んだ」中尉に関する責任までロンディニウムが追及してくることはないだろうからな。
だが、私は君を殺しはしなかった。それはヴィクトリアに対する君の忠誠心を尊重しているからであり、人の愚かな本能がヴィクトリアの鋭い剣を鈍らせる様を見たくはないからでもある。
よく目を開いて見てみるがいい。戦争はとうに始まっている! 怨敵を一人残らず始末するまで、我々は真の勝利を手にすることはできないのだ!
ホルン
あなたの行いは敵の思惑通り――ヴィクトリアとターラーとの対立を煽ることになるのだとは、お思いにならないのですか?
ハミルトン大佐
それこそ、私の望むところだ。刃向かう者は叩き潰すのみ――
私は、このターラー人どもの辿った末路が、ヴィクトリア全体に広まることを願っているのだから!
私が叩き潰したいのは、奴らの心だからな。
私は、全国民に知らしめたいのだよ! 国家への反抗心が芽生えた時――それに突き動かされる前に、その行動がどんな結果を招くのかを考えてみるべきだとな!
ホルン
……
今日あなたが放った火は、一体どれだけの血を浴びせたら消えるのでしょうか?
邪心を抱く大公爵、影から機を伺う隣国、野心に満ちた異民族――
――悪意ある者はあまりにも多く、ロンディニウム、ひいてはヴィクトリアにのし掛かった重圧はとうに耐えられないほど大きくなっています。
この状況はいわば国中に導火線が引かれているようなものです。陰謀家たちがそこへ火を灯せば、事態がいつ急変してもおかしくはない――
一度燃え広がったら、ターラー人を焼くだけでは留まりません。最後には、繁栄していたこの土地の誰もが炎にまかれ、等しく灰になるでしょう。
ハミルトン大佐
そうだとしても……内に潜んだ害虫がヴィクトリアを喰らい尽くすのを、黙って眺めているよりはマシだ。
ホルン
……あなたはもう、後戻りできないところまで来ているのですね。
であれば、これ以上お話しすることはありません。
ハミルトン大佐
それはいい。私も君を構わずに済む。ここを出て行きたければ、好きにしろ。
ホルン
私を解放するのなら、あなたを逃しはしませんよ。
今は亡きトライアングルと小隊員たちの名に誓って――この先何が起きようと、私が生きている限り――必ずあなたを軍事裁判の場に引き出してみせます!
ハミルトン大佐
ハッ、それを聞いて私が恐れをなすとでも?
ヴィクトリアが望んだ裁きであれば、私は逃げも隠れもしない。
ホルン
……では、また来るべき日にお会いしましょう。
ホルン
チェロ、オーボエ。行くわよ、通信基地局へ。
万が一、バグパイプがトランスポーターを街から送り出せていなければ、これが唯一のチャンスになる。絶対に逃せないわ。
現状を鑑みるに、基地局は既に、敵部隊によって占拠されている可能性が高いわ。間違いなく、厳しい戦いになるでしょう。
だけど私たちは――恐怖心なんてとっくに捨てたわよね。
ホルン
いきましょう、ヴィクトリアの戦士たち。トライアングルや皆の分まで戦い抜くのよ。
ハミルトン大佐
さて……戦況はどうだ?
どうした、なぜ答えない。――ヒル?
ハミルトン大佐
……勝手に持ち場を離れるとはな。
ハミルトン大佐
私の命令も受けず、どこへ行った……?
ジェニー
はぁ……ふぅ……もう、怪我人が多すぎる……
Outcast
軽傷者はできるだけ、無事な建物に避難させるんだ。重傷患者は一番近い診療所へ集めること――それから、隔離も忘れるな。
ジェニー
はい。しかし診療所の病床はひっ迫しています。
この近くにある十七地区はターラーの人が集まっている地域で、一番爆撃がひどかった場所なんです。
なので、一部の住民たちが、臨時の医療スペースとして清潔な場所を確保して、テントをいくつかとベッドを数十台用意してくれました。
有志の人たちが、重傷以外の怪我人をそのテントに運んでいます。彼らにもあなたから教わった防護方法を教えておきました。
ここにある残りの救急物資を片付けたら、あたしもあの人たちの所に向かいますね。
Outcast
了解。それにしても、君は本当に手際がいいな。彼らに信用されているのも頷ける。
ジェニー
あははっ……あたしが軍にいる数年間で学んだことは、人に好かれる方法くらいのものなんです。
何しろ、儀仗兵は軍の顔だと教わって、それを疑いなく信じてきましたから。……人々が拍手や歓声を送り、ヴィクトリアの栄光と繁栄を称える光景……それが当たり前だと思ってたんです。
Outcast
それも確かにヴィクトリアの一部だということは、誰にも否定できないさ。
ジェニー
……だけど、それがすべてでもない……そうですよね。
ジェニー
さっき、あなたの話を聞いて、昔のことを思い出しました。
あたしの父は弁護士で、よくお祖父の、そのまた祖父がヴィクトリアにやってきて、無一文から財を築いたというお話をしてくれました。
お話の中のヴィクトリアは、発達していて開放的で、活気に満ちた国でした。
ジェニー
そこでは、技術と資本が暴力に勝り、人々が懸命に積み重ねてきた財産が、天災や部族同士の争いで容易く失われてしまうこともないんです。
そんな国に来たからこそ、あたしたちヴイーヴルは野蛮な武力に頼らず生きていけるようになって、より「文明的な」生活を送れるようになったんだ、って父は言っていました。
Outcast
ヴィクトリアが長きにわたり、この大地でも最先端の生産力を有しているのは事実だからね。
ジェニー
でも、ヴィクトリア人らしくなるために、あたしたちがたくさんのものを諦めてきたことも、事実だと思います。
ジェニー
たとえば、あたしが五歳の頃、庭園で一番高い木に登ってはしゃいでいたら、それを見た父に厳しく叱られたんです。
父はあたしを部屋に閉じ込めて、何十冊もの本を与え、その翌日にはあたしのために、リターニアからピアノの先生を招くまでしました。
木の上からの景色が名残惜しかったんですが、その時はあまり深くは考えず、お父さんはあたしのためを思ってこうしてくれたんだと信じていました。
Outcast
お父上は、君がこの地のルールに順応できるよう慮っていたのだろうな。
ジェニー
ええ、そう思います。父はあたしよりよくわかっていたんです。本やピアノ、それに庭園……ルールに順応しなければ、あたしたちはそうしたものに恵まれた生活を送ることはできないんだ、と。
ジェニー
それに、これだけじゃありません。
学生のころ、ある日の放課後にお気に入りのパン屋さんの裏手で、高学年の生徒が何人か集まってフェリーンの女の子をいじめていたんです。
その人たちは彼女のことを、物を知らない奴だとバカにして、彼女の汚れた服を指さして笑っていました。
それから、いじめっ子たちがいなくなった後、あたしは彼女に近付いて、カバンに入っていた小説を数冊手渡しました。
本を読めば、同年代の子たちとの話題もできて、もう笑われたりなんてしないだろうと思っていたんです……
一週間後、あたしはその本のことを話そうと、わくわくしながら彼女に会いに行きました。ですが、彼女は首を横に振って、本を返してきて……
ジェニー
どの本も開かれてすらいないのが、一目見ただけでわかって、当時のあたしは、怒りを感じました。お友達になりたくて、大事な本を貸してあげたのに、それを無下するなんてひどいって。
ジェニー
だけど、ずっと後になって知ったんです……
彼女は字が読めなかったんだ、って。
Outcast
……パン屋の使用人であれば、教育を受ける機会などなかったのだろうね。
ジェニー
そう思います。小説を読めるということ自体が贅沢なんだと、あたしはその時ようやく理解しました。
こうして考えていくと、ヴィクトリアがすべての人を平等に扱えたことなんて、きっとないんですよね?
ジェニー
認めたくなかったんです。自分がヴィクトリア人でいられるのはここの「ルール」に順応しているからだってこと。そして、ルールから外れた人は、この国に顧みてすらもらえないんだってことを。
Outcast
そうやって己の力で瞼を開き、正気を保ち続けるには勇気がいるものだ。
特に、この手の夢は強力だからな。何しろこれは、特定の文明形態が生み出す巨大な共同幻想なんだ。――私以上にそれを理解している奴なんていないだろう。
ジェニー
それは、あなたがラテラーノ人だからですか?
Outcast
いいや、私がラテラーノを去った人間だからだ。
ジェニー
そう言われると……こんな頭の悪い凡人の悩みなんてほっといて、あなたの昔の話が聞きたくなってきます。
Outcast
ジェーン。君は決して凡人なんかじゃない。そもそも、自らを凡人などと呼ぶべきではないよ。
ジェニー
ふふっ、ありがとうございます。ずっとそうやって慰めてくれたお陰で、感傷的な気持ちに振り回されずに済みました。
Outcast
それは、君が努力し続けたからこそ訪れた結果さ。
ジェニー
……よし。物資は全部まとめ終わりました。さっき話した、臨時の医療スペースまで運んできます。
Outcast
ああ。道中、警戒を怠るなよ。
ジェニー
はい。街の中は混乱状態ですけど、幸い駐屯軍は攻撃をやめたようですし、暴徒も大体いなくなってますから……市民が団結することさえできれば、ヒロック郡はまだ救えるはず、ですよね。
Outcast
人というのは、得てして想像よりもタフなものだからね。多くの野心家がそれを過小評価して、最後は惨めに敗れてきたものさ。
ジェニー
となると最大の問題は、やはり薬品不足ですね。
Outcast
初めに行う傷の洗浄と手当てを、丁寧にやるほかないな。
ジェニー
あの……実はまだ、あたしの分の薬が残ってるんです。今は必要ないですし、使ってしまおうかと思って……
この一部だけでも、あと何人かは助けられますから。
Outcast
ダメだ。その考えは捨てなさい。
より多くの人を救いたいのなら、他人を助ける前に、まずは自分の安全を確保するんだ。いいね。
ジェニー
はい……わかりました。覚えておきます。
では、いってきます。運び終えたらまたここに戻ってきますので。
Outcast
いや、この辺りの負傷者はほとんど対応が済んでいるから、次のエリアで落ち合う形がいいだろう。ふむ、私はどこを目指そうか。
ジェニー
ええと、それなら彫像の向こう側でしょうか?
フレッド
Outcastさん。そちらから前方にある地区で、負傷者が一名倒れているのを望遠鏡で確認しました。
Outcast
了解。特徴は?
フレッド
若い女性のようです。種族は、えーと……恐らくヴイーヴルかと。
Outcast
容体は?
フレッド
芳しくありません。ここからでも、腹部に大きな源石クラスターが刺さっているのが見えてます。既に感染していると見てほぼ間違いないかと。現状、出血多量による意識不明と思われます。
Outcast
ありがとう。すぐに向かう。
フレッド
いや、待ってください……Outcastさん、あの近辺は交戦地帯のようです!
現状、付近に敵はいませんが、あの一帯は仮面の連中に占拠されていたはず……それに、後ろにある建物は――奴らの指揮拠点です!
Outcast
――だからどうした?
フレッド
……つまり、あの負傷者は、敵方の重要人物である可能性が極めて高いと思われます。
Outcast
私たちはこれまで、陣営など関係なく救助活動をしてきただろう。
フレッド
ですが……いや、すみません。俺では判断できかねます。ええと、オリバーさん、聞こえてましたか?
オリバー
ああ、聞こえてる。……Outcastさん、俺も不用意な行動には賛成できません。今回の件の中心人物を助けることになれば、それはロドスにとって大きなリスクになりかねませんし……
Outcast
わかっているさ。君たちの目には、「権力闘争の渦中にいる人物が鉱石病に感染した」という事実が映っているのだろう。
だが、私の目に映っているのは「一人の感染者が権力闘争によって殺される」という未来の方なんだ。
さらに言えば、彼女が死に至るまでの過程でより多くの権力闘争が起こり、これまで以上の人々が命を落とすことになるだろう。
そうした悲劇が訪れる前に、それを阻止できるチャンスが僅かでもあるのなら、私はそれにすがるよ。
オリバー
……あなたを説得するのは無理そうですね。ご命令とあれば、従いますよ。
Outcast
いいや、オリバー。君に命令する資格など私にはないし、そうしたくもないんだ。
代わりに一つ、覚えておいてくれ。任務報告書にも必ず書き加えておくように。
これからの行動は、ロドスのエリートオペレーターとしてではなく、Outcast、つまり私個人の判断だ。
オリバー
で、ですがそれではあなたの立場が……!
Outcast
ああ、そうそう。君の「ですが」の内容も、詳しく書いておくようにな。
「臨時オペレーターOutcastは、エリア責任者の撤退命令に従わず、独断で危険人物の救助を行った」――これでいい。
オリバー
そうは仰いますけど……! ロドスへの影響を抜きにしても、これ以上進むのは危険ですって!
Outcast
だからこそ、これ以上誰かを巻き込むわけにはいかないのさ。
私の行動はロドスとは無関係としておくのが最善だろう。君たちは当初の計画通りに行動して、救助任務を終えたらすぐさま、資料を持ってヒロック郡から撤退するんだ。
シュレッダー
……それなら、私も行きます。
オリバー
なっ、おい、シュレッダー!?
シュレッダー
オリバー。必要になれば、報告書に一言加えてくれ。私をその場で解雇したため、帰りを待つことなく撤退した、と書いてくれたらいい。
オリバー
っだあ、もう! ふざけたこと言わないでくださいよ!
ああ、もう……わかった、わかりましたよ、だからさっさと行ってください! 感染者を一人救うだけでしょ? そんくらい、俺たちロドスは今まで散々やってきたわけですし!
俺は誰も置いてきゃしませんから、時間厳守で合流地点に来てくださいよ!
Outcast
そうか、ありがとう、オリバー。君の判断に感謝するよ。
そしてシュレッダー、君の優しさにもね。……ただ、この件に関しては私の意見に従ってもらえると嬉しく思う。
要するに――その場に留まっていてほしいんだ。
現地には私一人で向かう。そこで何が起きようと構うな。時間までに戻らなければ、先に合流地点へ向かってくれ。
シュレッダー
……わかりました、Outcastさん。あなたを迎える準備をしておきます。
ジェニー
Outcast……
Outcast
ジェーン。君まで私を引き止めようとはしないよな?
ジェニー
……本当に、助けに行くんですか? その人は、暴徒たちの重要人物だって言ってましたけど……
もしかして、彼女が、シアーシャを殺した犯人なんじゃないんですか……!?
Outcast
……私の想像では、謎に包まれた野心的な組織が、路上で死にかけている重要な幹部を放っておくわけがないと思うがね。
ジェニー
そ、そっか……はぁ、ならよかった。安心しました。
Outcast
——
もしも彼女がその犯人だったとしたら……君はどうする? 彼女を救うのを、止めようと思うかい?
ジェニー
……
ジェニー
正直に言うと、わかりません。
ジェニー
でも、あなたがさっき言ったように、今の彼女はただの気の毒な感染者で、あたしたちの助けが必要だ、ってことには同意します。
そのうち、彼女の命が助かったあとなら、それを聞いてみることもあるかもしれませんけど……
ジェニー
ごめんなさい、忘れてください。きっとあたしの考えすぎですし、あなたの時間を無駄にはできませんから。
Outcast
そうか。では、行くとしよう。
ジェニー
あっ! 待ってください、それと……
ジェニー
あたしに言ってくれましたよね。他人を助ける前に、まずは自分の安全を確保するんだ、って! あれ、ちゃんと覚えていてくださいね!
Outcast
これはこれは、我らがジェニーも、私に物を教えてくれるほど立派に成長したようだね。
ジェニー
や、やめてくださいよ~……
Outcast
ふふっ……まあ、安心してくれ。
言ったとおり、私は――感染者を一人助けに行くだけだからね。