浸透
ハァ……ハァ……
痛い……石が肉の中に広がっていく音が……聞こえてくるみたいだ。なんでまだ死んでないんだ?
力が出ないし、両手両足は言うことを聞かない……走れ! 東へ走るんだ!
南へ行っても北へ行っても死ぬだけだ。西は……クライニ・セーヴェルがこの有様なら、西部の採掘場も無事なはずがない。
しかも、クライニ・セーヴェルから逃げ出せたとして……どこへ行けばこの苦痛から逃れられる?
感染者坑夫
うっ……
もう……走れ……ない……
ここ、までか……
……
遠くから聞こえる声
あそこに誰かいるようだが?
様子を見てこよう――
……いえ、私が行きましょう……
あれは苦難に見舞われた人であるように感じられます。
???
脱力、脱水、長時間の絶食……
あなたも感染者ですね。
感染者坑夫
ゲホッ、ゲホゲホッ!
熱に浮かされた声
同胞、彼も同胞だ!
どうか救ってあげてくれ。我々全員を救ってくれたのと同じように――
再びあなたの奇跡を起こしてくれ!
???
奇跡などではありませんよ……はぁ。
鉱石病は、彼がここまで苦しんでいる主因ではありません。私は病による痛みを和らげることはできても、飢えを満たしたり、綺麗な水を与え、安全な場所で眠りに就かせてあげることはできません。
私は奇跡など起こせませんし、全能でもありません。ただ……信じているだけです。
敬虔な声
あなたのそういう謙虚な姿勢は、みんなわかっていますとも。
???
……あの、私の声が聞こえますか?
今から、あなたの手を取ります……
「信じなさい、我らの生命を。」
「我らの身体と思考を、心が刻む律動を、肺が生み出す呼吸を。」
「我らこそがあらゆる力の源であると信じるのです。」
これより、あなたは死への恐怖の中で生きる必要はなくなります。
体内で急速生長する源石による痛みが、徐々に引いていく。
彼にはまだその音が聞こえたが、もはや痛みにのたうつことはなくなった。
感染者坑夫
あ――あんたは何者だ?
あんたが助けてくれたのか……
ゲホッ、ゲホゲホッ、ゲホッ――
どうやって、お礼をすればいい?
???
ここにいる仲間たちと同じく、私のことは「ヒアダ」とお呼びください。
熱に浮かされた声
奇跡だ――
ヒアダは、また我々の同胞を救ったんだ!
彼女は、俺たち全員を救ってくれたんだ。まるで母親のような手つきで、さっきあんたにやったように、触れただけであらゆる痛みを消し去ってくれた!
ヒアダ!
敬虔な声
ヒアダ。
多くの人の声
ヒアダ!
感染者坑夫
ヒアダ……ヒアダ。
ヒアダ
はい、それが私の名です。
感染者坑夫
どんな姿をしているんだ? あんたのことも、他の話してる奴の姿も、ぼやけている……
ヒアダ
頭に傷がありますね。慌てて駆けてきたせいで、どこかでつまずいて、頭を打ったのでしょうか?
脳内出血のせいで視界がぼやけているのかもしれません。大丈夫です、私たちが支えますから……
これからどこへ行くつもりですか?
感染者坑夫
わからない……
ヒアダ
ならひとまず、私たちと共に行きましょう。
敬虔な声
あなたは私たちを、苦痛のない場所へ連れていってくれるんですよね?
ヒアダ
はい。皆さんが私と共に歩むことを望んでおられる限り……
ヒアダ
私たちが信じる限り。