帰郷

「各部隊に告ぐ、こちら司令部。」
「サンクト・グリファーブルクより緊急要請あり。我が方はこれに応じる。各部隊は砲撃を停止せよ。」
「繰り返す。ただちに砲撃を停止せよ。」
「応答を求む。」
将校
ふぅ……
砲撃停止の範囲は?
通信兵
出撃中の全部隊です。
将校
(うなずく)
「了解。」
将校
イェルチン中尉に伝えよ。ただちに第二師団隷下の全部隊の砲撃停止状況を確認せよと。
「各部隊は戦闘態勢を維持したまま、その場に待機せよ。」
「脅威が完全に排除されるまで、我々はサンクト・グリファーブルクを防衛し、民を守るという誓いを果たし続けるものである。」
将校
……補給官を呼んでこい。
兵士
上官。本作戦には補給官が随行しておりません。
本作戦において上官が想定されていたのは、迅速な対応でしたので――暴動を起こす感染者の殲滅だけなら、それほど時間はかからないだろうと。
将校
……
ひとまず通常通りの返答を司令部に返したまえ。
それから、君。名前は何と言う?
兵士
はっ、自分はヴャチェスラーフ・キノフ兵士であります。
将校
よし、兵士ヴャチェスラーフ、中尉に通達せよ。ここでは当面のところ中尉の出番はないと。
冷たい兵士
……その程度の些事のために、私が持ち場を離れてまでここへ来た価値があるとでも?
正気を失ったのか。
怒る兵士
パーチャ、盾兵の制服なんか着て、ずいぶんと威厳のある格好だな……!
まさかそのヘルメットを被ったせいで何も見えなくなっちまったのか?
ウジの湧いたレーションに、すぐ折れるクロスボウの矢――挙句の果ては不発弾!
俺たちはこんな物を持って死にに行くんだぞ!
冷たい兵士
レーションに虫が湧いているなら、それごと食えばいい。武器が使い物にならないなら、身体で補え。
我々は兵士だ。戦い、そして勝つ。後は戦い続けるか死ぬか、それだけだ。
怒る兵士
正気を失ってるのはあんたの方だ!
冷たい兵士
他者の職務における過失を発見したのなら、私に愚痴を言うのではなく、上官に報告すべきだ。
私は補給官ではないのだから――
将校
重装兵団は甲板の防衛に当たっているはずでは?
冷たい兵士
……申し訳ありません、上官。確かに自分の職務放棄でした。
この職務怠慢については、自分の口から督戦官に報告いたします。
(敬礼)
将校
……
怒る兵士
じ、上官!
将校
何か発見したのかね?
怒りを覚えた理由を話してみたまえ。
怒る兵士
……本作戦において、我々の軍需品の品質はあまりに劣悪です。
レーションはひどいもので、配給の缶詰はすべて破損しています。中にはウジがびっしりと……
それにクロスボウの矢じりも……ほとんどが鋼ではなく、銑鉄で代用されています。
予備の源石爆弾も、エネルギー含有量が極めて低く、不発弾とほとんど変わりません。
これで……どうやって次の作戦をこなせと言うんですか?
将校
……君は、何のために入隊した?
怒る兵士
それは……
将校
大声で答えたまえ。
怒る兵士
じ――自分を証明するためです! 自分の名前をもっと多くの人に知らしめたかったからです――
上官のように!
将校
軍が君のドッグタグを送り返し、母親が君の名をシラカンバの木に刻みつければ、それもまた皆に周知されることになるだろう。
怒る兵士
そ、そういう意味ではなくて……
将校
集団が戦争に身を置いたのであれば、一個人に自らの結末を選ぶ余地などなくなるのだ。
だが……
その希望を捨てるな、若者よ。君の「発見」を胸に刻んでおくといい。
より多くのウルサス人を生かし、ウルサスを存続させるため、今や我々に残された選択肢は一つしかない……
この大地を炎で燃やすことだ。