ガヴィルの拳
大祭司
のわああああああ! うーむ、いまいちじゃな。次は別の叫び声にしようかのう、少々飽きてしまった……
ガヴィル
おい、あいつは大丈夫なのかよ。
ユーネクテス
心配ない、じきに戻る。
ガヴィル
じゃあいいけどよ。つーかあれって本当に普通のヤツなのか? あんなヤツがいるなんて聞いたことねぇんだけど。
ユーネクテス
私にもわからない。本人からは、ずいぶん長くここで生活していたという話しか聞いていない。
ガヴィル
ふぅん。それよりも……
本当に大したデカブツだったな。
ブレイズ
ガヴィル、頭から血が出てるよ! 大丈夫?
ガヴィル
平気平気、こんくらい掠り傷だよ。トミミ、アタシの救急箱を持ってきてくれ。
ん? トミミのガキンチョはどこ行ったんだ?
ウタゲ
ほい、救急箱だよ。トミミなら、あいつを倒す寸前に慌ててどっかに走ってったけど……
ガヴィル
サンキュー。まさかあいつ、ちびったんじゃねぇだろうな。まあいいや、先に手当しとくか。
そうだ、お前らはほかにケガ人がいないか見てきてくれねぇか。いたら全員ここに連れてきてくれ。アタシが診るから。
ケオベ
おー、おいらにまかせろ!
ブレイズ
ハハッ、了解。
ウタゲ
えー、めんど。
クロワッサン
ほらほら、文句はその辺にしときや。
ガヴィル
ドクター……ん?
ユーネクテス
ビッグ……アグリー……
ガヴィル
ズゥママ、わりぃな。バラバラにブッ壊すしかなかった。
ユーネクテス
わかっている。
確認した限り、お前のエンジンは無事のようだ。あとで返そう。
ガヴィル
そうか、そりゃあ助かるぜ!
ユーネクテス
ガヴィル、ここに残るつもりはないのか?
ガヴィル
お前と同じように、アタシにもやりたいことが見つかったんだ。
ユーネクテス
医者か?
ガヴィル
ああ。
ユーネクテス
医者をやるのは楽しいか?
ガヴィル
うーん、機械を作るのは楽しいか?
ユーネクテス
楽しい。
ガヴィル
そういうことだ。
ユーネクテス
だが、やはり大族長はお前しかいない。
ガヴィル
ハァ? なんでだよ?
ユーネクテス
ビッグ・アグリーを倒したからだ。ガヴィル、お前の勝利だ。
見ろ、また人が集まってきた、皆お前を見ている。
ガヴィル
チッ、どうすんだ、ドクター?
答えになってねぇ!
ドクター、狸寝入りはやめろ! 医者のアタシには通用しねぇぞ!
ドクターてめぇ、マジで一発殴ってやろうか?
トミミ
ガヴィルさん、大丈夫ですか!
ガヴィル
ん? ああ大丈夫だ。どこに行ってたんだ?
トミミ
え? あっ、その、急にトイレに行きたくなっちゃって!
ガヴィル
そうか……ん?
トミミ
どうしたんですか、急にじっと私を見つめて……
ガヴィル
ハハ、この手があった!
ガヴィル
みんな聞いてくれ!
アタシはビッグ・アグリーに勝った! だからこれからはアタシが大族長だ!
そこで、お前らに言いたいことがある。それは――
拳こそがすべてだ!
トミミ
えっ、ガヴィルさん、大族長になってくれるんですか?
ガヴィル
しかーし!
アタシには、まだ大事な用がある! だから、やっぱりしばらくここを離れなきゃならない。
だが心配すんな! アタシがいない間、トミミがここをまとめる。
お前ら全員、このトミミをアタシだと思え!
トミミ
えっ、えええ?
ウタゲ
えっ、そんなので大丈夫なの? ここの人たちって、実力至上主義なんじゃないの?
ユーネクテス
ガヴィルはすべてに打ち勝ち、大族長になった。ヤツの言葉は当然受け入れられるだろう。
ガヴィル
ハハッ、ズゥママ、機械も面白ぇけど、やっぱりアタシは拳の方がいい。
ユーネクテス
ふんっ、私はまだお前の考えを認めたわけではない。いずれもっと強い機械を作って、お前に再挑戦する。それを忘れるな。
ガヴィル
いいぜ、待っててやるよ。
おっとその前に、アタシと一緒にロドスに来い。
ユーネクテス
なぜだ?
ガヴィル
お前の鉱石病を診てもらうんだ。
ユーネクテス
断ってもいいか? 私はまだビッグ・アグリーを……
ガヴィル
こればかりはダメだ。それに今はアタシが大族長だ。お前がなんと言おうが、引っ括ってでも連れて行くからな。
ユーネクテス
わかった。
トミミ
……ガヴィルさん、やっぱり行っちゃうんですか?
ガヴィル
ああ。飛行ユニットにエンジンをつけ直したら、すぐにでも出発するつもりだ。
トミミ
……
ダメです。
ガヴィル
は?
トミミ
い、行かせません!