灼熱の夢
私の炎が怖いか? だがお前の炎は私と同じものだ、ラフシニー。
それは永遠に燃え続ける。その光を覆い隠そうとしても、あるいは消そうとしても、それはすべて無意味だ。
人の目を怖れるな。見た者を畏れさせるのだ。
私の中にある炎。その感覚を探ろうとする度に、焼けるような痛みを感じた。いつの間にか、その痛みは自身の思考よりも先に体を駆け巡るようになっていた。
両親からは、この生まれ持った炎は腹に納め、隠し、誰にも見られてはならないと言われた。
でも私は知っている。姉さんはいつもこっそり要らなくなったものを燃やしていた。そうすればもっと良いものが手に入るから。
私も同じようにして構わないだろうか?
ラフシニー
父さん、本屋に連れて行ってくれる?
あの日の朝、私は姉さんの真似をして、姉さんのようなしゃべり方で両親に話しかけてみようと思った。
姉さんがお願いをすると、二人はいつも火を扱うように慎重な姿勢を取りながらも、慈愛を持って同意した。
私は姉さんと同じ顔と声をして、同じ服を着ている。ならば私にもできるはずだ。
ラフシニー
蒸気騎士の武勇伝の続編が読みたくて……どうしてお前はヴィクトリア人なのに、蒸気騎士の物語をほとんど読んでいないんだって言われたくないから。
父親
……明日にしないか、ラフシニー。父さんも母さんも今日はすごく疲れているんだ。
ラフシニー
父さん……私がラフシニーだってわかるの?
父親
当然だ、自分の娘たちを見分けられないはずがないだろう?
あの雪夜の後にようやく気付いた。両親が首を縦に振らないのは、私の欲しいものが小さすぎるからだと。
もし姉さんなら、新作小説などを両親にねだることはないだろう。
私は彼女の後ろについて、必死に走っていた。
家族の団らんを象徴する鐘が鳴った。でも、家にはもう戻れない。
ラフシニー
姉さん……私たち、どこへ行くの?
エブラナ
……お前はどこへ行きたい?
ラフシニー
私は、わからない……
エブラナ
どこにも家がないのなら、適当にドアをノックするんだ。
ドアを開けてくれた者に、私たちはこの祭日の雪夜に帰る家がないと正直に言うんだ。
どれだけ冷淡な人でも、相手が子供二人なら同情心が湧くだろう。
行け、ラフシニー。恐れるな。私がお前を見ている。
冷たい紫色の炎が照らす中、私は震えながら最初の家の扉をノックした。
それはついさっき私たちの敵の命を奪ったばかりの炎。でも私は、もし自分が間違ったことをすれば、それはたちまち向きを変えて私を殺すというのがわかっていた。
ラフシニー
──でも、先生が一体何したっていうの?
ターラー人の居住区で劇が上演されていると聞いた。だからこんな大雪の夜だというのに、先生はまだ帰ってきていないのだろう。
姉さんは私を先生の書斎に連れてきて、椅子に座った。姉さんは私の問いに直接答えず、ただ穏やかに私を見ている。
私にはわかる……姉さんは私に失望しているのだ。私は自分で答えを見つけられるはずなのに、と。
ラフシニー
……先生は私たちに、罪なき人の生活を破壊することを、ターラー人とヴィクトリア人の対立を激化させることを教えた。
それに彼は……没落した政敵を殺した。あのヴィクトリア人たちが私たちの両親を殺したように。
だから、彼の命を奪うのは……当然のこと。
姉さんはいつも正しい選択ができる。でも私にはできない。
姉さんは私に一本の槍をくれた。でも炎を吐くその槍を握り締めるたびに、私は震えてしまう。
今みたいに。
ラフシニー
それで……いい?
エブラナ
違う、ラフシニー。
死はただ、彼を自らの理想の先に導くだけだ。
彼は私たちに陰謀と策略を教え、自由と尊厳を剥ぎ取った。これは当然憎むべきこと――だが、ただそれだけのことだ。
彼のやり方はすでに完成されたものだったが、彼の野心はあまりに狭かった。その点は本当に惜しまれる。
彼の望みは、壊れやすい空想の国を支配し、戴冠した我々を自らの操り人形にすることでしかなかった。
だが私が手にしたい権力は、彼のその狂った空想よりも、はるかに大きなものなのだ。
──お前はどうだ? ラフシニー、お前は何を望む?
お前の血と教養はお前を高尚にさせた、これは素晴らしいことだ。だが、もし何も求めるものがないのなら、私はお前にどんな地位を与えてやればいい?
言うがいい、これは雪の夜の願い……どれだけ大きな野心だろうと許してやろう。
ラフシニー
……
……
私は答えなかった。
私には小さな夢しかない。暖炉の中の温かな火のような。
私に答える勇気はなかった。
エブラナ
ないならないで構わない、我が妹よ。自分の欲望がどこにあるのかわからないなら、まずは私になれ。
今から、お前も私も「リーダー」だ。
その炎が私をじっと見つめた。そして私は彼女の影となった。
セルモン
ハッ……アンタずっとついてきてたのか? いつからだ?
リード
違う。ヴェンからキミがお兄さんを見つけたと聞いたから……
リード
それで、キミならきっとお兄さんが静かに眠れるように……ダブリンの部隊を襲撃するって予想したの。
セルモン
こいつはアンタにゃ関係のねぇことだろ。
リード
関係あるよ。私はこれまでずっと……アーツで操られた死者たちを探していたんだ。私も彼らには安らぎを得てほしいから。
そして私にはそれができる。さっきキミが見たように。
セルモン
……
兵士の行軍の足音は消え、荒野は沈黙に包まれる。
二人はどちらも黙ったままだった。しばらく経った後、セルモンは不意にしゃがみ込むと、落ちていたマスクを拾い上げ、埃を払って兵士の顔にそっと被せた。
セルモン
ヴェンめ……あのお節介野郎、アタシが初めてダブリンに会った時のことは話したか?
当時アタシらは街にいた。アタシと兄ちゃんは、気分がいい時にゃ飲み屋で臨時のバイト募集がねぇか探しに行って、気分が悪けりゃスリングショットでヴィクトリア人の屋敷の窓を割ってたんだ。
セルモン
ハッ、正直あの貴族たちがヴィクトリア人だったかは知らねぇが、アタシらを農地から追い出した貴族がそうだってのは知ってるぜ。
セルモン
それからある日のこと、路地裏で怪我して倒れてた女がターラー語でアタシを呼び止め、手紙を届けてほしいと頼んできたんだ。
アタシたちはそいつが何者かわかった。アタシは手紙を届け、そいつのために隠れ場所まで見つけてやったよ。
セルモン
それからアタシはそいつに、この街で一番の悪人だと思うヴィクトリア人は、法令を公布するあのチョビ髭貴族だって教えてやった。
ターラーの飲んだくれに対する酒税に、源石製品税、それに仕事のないターラー人を一ヶ所に集めて住まわせる条例だったり……全部あいつがテレビで言ってたことだ。
セルモン
それから、ローストリートに駐在してる将校のことも告げ口した。あいつが何人も殴り殺すのを見てきたし、目が合っただけで人を捕まえるクソ野郎だったからな。
亡霊部隊が襲撃のターゲットを決めるって時は、絶対にこいつらを加えなきゃダメだって言ってやった。
だがあいつはこう答えた。「違う。ダブリンの目的は、ターラー人に代わってヴィクトリア人に復讐することじゃない」ってな。
それを聞いて兄ちゃんは、一番でけぇ貴族の家とか、一番豪華な貴族のパーティー、まるっと一部隊を武装できて一区画の農民を養えるほどため込んでる貴族の貯蔵室なんかを教えてやった。
そしたらあいつは、「そうじゃない。ダブリンはヴィクトリア人から略奪してターラー人を救いたいわけでもない」と言ったんだ。
それから、「人を殺してその人たちに成り代わっても、ターラー人の状況を良くすることはできない。ただ自分たちが彼らになるだけだ」なんて抜かしやがった。
まるで、ヴィクトリアのマナーを身につけ、ヴィクトリア人の喋り方を真似すりゃ、どんなターラー人でもヴィクトリアの貴族になれるみてぇな言い方だったよ……
リード
……じゃあ、ダブリンが何を求めているか、彼女はキミたちに教えてくれた?
セルモン
ハッ、いいや。だがその後兄ちゃんは何か納得したみたいだった。だからアタシたちはダブリンに加わると決めて、あいつらが残した情報を頼りに探しにいったんだ。
セルモン
アタシたちは移動都市を離れ、近くの集落に向かった。
セルモン
その途中で、アタシはふとダブリンがどうやって目撃者を始末していたかを思い出しちまったんだ。
アタシは怖くなった。今すぐ逃げきゃダメだと思うくらいにな。
アタシだってヴィクトリア人の一人一人が憎いわけじゃねぇんだ。憎んでもいねぇ奴らを酷い目に遭わせる覚悟なんて……アタシにはできていなかった。
リード
でも……それも戦争なら仕方のないことでしょう。
そんなふうに諦めるのは嫌だけど……でもダブリンは軍隊で、軍隊の目の前には戦争しかない。
セルモン
わかってる、もちろんわかってるさ。
頭じゃ、あいつらが正しいのはわかってる。
セルモン
問題は、それがアタシにできないってことなんだ。
……どうして兄ちゃんにはできてアタシにはできない? どうして兄ちゃんはあんなに固い意志を持ってるのに、アタシは逃げる?
セルモン
どうして兄ちゃんは死ぬことに耐え、死んだ後も燃え続けることに耐えてるのに、アタシは兄ちゃんがこんな姿になったのを見ることすら耐えられないんだろう?
リード
……
どうして姉さんは灰の中から立ち上がれるのに、私は影の中に隠れて泣くことしかできないんだろう?
ラフシニー、キミが望むものは何?
リード
……「私は君のために書こう。私の生涯で知った、愛と夢を」……
「しかしその燃え盛る狂喜の中に、愛と夢の居場所はない」……
セルモン
は?
アンタ……こんな時に詩を詠んでるわけじゃねぇよな?
セルモン
ふざけてんのか? アタシの前で詩なんて……自分に教養があるってことを見せびらかしてぇのか?
リード
ごめんなさい……どういう言葉をかければいいかわからなくて。
励ましや慰めの言葉なら、これまでいくらでも言ってきたけど……あれはどれも私自身の言葉じゃなかったから。
セルモン
はぁ……そっちの事情は知らねぇけど、詩はもうやめてくれ……
……
セルモンは両手で顔を覆った。
彼女の悲しみは、もう喋らないダブリン兵と同様、深緑色の輪郭に包まれた。
「夢を見たんだ……」と、彼女は小さく言った。ダブリンの亡骸が声を発したと錯覚するような、低く押し殺した声だった。
セルモン
何年も前、アタシたちがまだヴィクトリア人の荘園で働いてた頃の夢だ。
ある日、仕事なんかほっぽって一緒に遊びに行こうって兄ちゃんに誘われたんだ。
セルモン
……長いこと歩いて、農地の端っこまで行き、荒野を見下ろした。
果てしない土地、そこにいっぱい咲いている野の花。兄ちゃんは、あれこそターラーだって言ったんだ。
兄ちゃんはバカで偉そうな話をたくさんして、風に向かって大声で歌を歌ってた。
ヴィクトリア人がアタシらの言語を奪った。だからアタシらには、言葉にしたくても表現できない思いがたくさんあって、愛や悲しみを古い民謡の中に隠すしかなくなったって言うんだ。
セルモン
それとアタシたちはすごいことをしてるとも言ってた。アタシらは今日一日、ヴィクトリア人のために仕事をしなかった。これこそがヴィクトリア人に対する抵抗なんだって。
あの時兄ちゃんは本当にそれを誇りに思っていて、伝説のヒーローになることを本当に夢見てたのかもな……ハッ。
セルモン
アタシも一緒だ。
……アンタが兄ちゃんに残してやった炎、きれいだったよ。あの日アタシらが見た、野の花みたいだった。
リード
でもあれは本当の花じゃない、ただの……
「私たちの一生は、まばたきほどの一瞬にすぎない。」
リード
……ましてや、キミはあれに触れることさえできない。
セルモン
大丈夫だ、気にしねぇよ。
セルモン
自分で吹いたホラみたいに、アタシらが見た夢みたいに、ヒーローみたいに兄ちゃんが死ねるなんて思ったことはねぇよ。
セルモン
だけど、リード……アタシは本当の話が聞きてぇんだ、アンタ自身の口から本当の話を。
兄ちゃんが死んでまで追い求めていたもの……ダブリンが約束した未来は、嘘だったのか?
リード
……
闇夜の下、一つの炎が槍の穂先で燃え上がる。
炎が照らす中、リードは、一筋の涙が彼女の頬を伝うのを見た。