Made in Volcano

プロヴァンス
うん、それで火山の麓の森でセイロンさんに会ったんだ。
セイロン
一つ、いいかしら。
わたくしを助ける直前のことを、そこまで仔細に語る必要はあるのかしら?
スカイフレア
ええ、こちらのお嬢様の言うとおりですわ。そこのしっぽ! その語り口、まるでわたくしが面倒な人だと言わんばかりの言い草ね。
プロヴァンス
え、そんな、それはスカイフレアの気のせいだよ!
セイロン
ええ、では少し前後いたしましたが、わたくしの自己紹介をしてもよろしくて?
わたくしの名前はセイロン・ドルクスと申します。ヴィクトリア国立大学の出身で専攻は源石(オリジニウム)。そしてこの都市の市長の娘でもありますのよ。
スカイフレア
まさか市長の娘が一人きりで、火山近くの雑木林にいたなんて、この目で見なければ信じられませんわ。
セイロン
わたくしは、学術研究者として、あの場所を訪れていたのです。
プロヴァンス
じゃあ、さっきの火山の麓での話に戻ろう……。
セイロン
コホッ、コホコホッ。
ありがとうございます。見知らぬ方々。
プロヴァンス
どういたしまして!
でも、こんなところで何してたの? しかも一人で。
ビーチで散歩してた…にしても、ちょっと距離があるよね。
あれ、それにその機材は……。
スカイフレア
プロヴァンス、彼女もわたくしたちと同じで調査に来たようね。
プロヴァンス
えー、そうなの?
スカイフレア
調査用ノートを片手にしつつも、この現場に似つかわしくないお洋服と靴……。
もし彼女がただの世間知らずでないのなら――――
恐らく突然何か思いついて、服を着替える間もなく飛び出して来たのでしょう? 身だしなみなんて二の次にして。
ま、かく言うわたくしも、何枚もスカートを燃やしてきましたわ。
プロヴァンス
えーっと……そんな当たり前みたいに言うことじゃないと思うけど……。
セイロン
スカートの話は置くといたしましても、まさに貴方の言うとおりでございます。
プロヴァンス
うん、なんて言うか、やっぱりそれじゃ危ないよね……普通調査って言ったら完全防備で行くものだから……。
スカイフレア
そんなの問題ありませんわ。このわたくしさえいれば、手ぶらでどこに行こうと安全ですもの。
セイロン
とにかく、救ってくださいましたこと、わたくし心より感謝を申し上げます。
市内へお戻りになられたら、ご連絡いただけますこと? ぜひお礼を差し上げたいですわ。
それではわたくし、まだやるべき事がございますので、これにて失礼いたします。
プロヴァンス
用事があるならこれ以上は引き止めないよ。でもやっぱり一人で火山の近くに行かないほうがいいよ。
オリジムシに襲われたばかりでしょ。一人じゃ危ないって。
セイロン
いえ、先程はちょっと想定外の事が起こっただけですの。なにせ急いでおりまして。周りを見るのが疎かになってしまいましたわ。
それに、わたくしはこの都市で育ちました。もし仮に、あのオリジムシがそこまで危険な存在でしたら、市長が既に対策を講じているはずですわ。
プロヴァンス
……うーん、わかったよ。でも、あのオリジムシたち、もしかすると何か原因があって群れを作ってたのかも。
セイロン
この森のオリジムシたちはずっとあんな様子ですわ。そんなことがあるとは……。
セイロン
いえ、環境変化のせいでオリジムシたちが凶暴化している……? なるほど、ありがとうございます。わたくしの確証がまた一つ増えましたわ!
スカイフレア
……プロヴァンス、彼女もあなたと同じところに目をつけたみたいですわね。
わたくしは火山に関してはそこまで詳しくありませんが、各方面に造詣がある専門家として、ある程度のことは理解できますの。
セイロン
もしかして、貴方がたも兆候を探しにいらしたのかしら?
……この火山が噴火するという兆候を。
プロヴァンス
特徴のある刺激臭、異常なまでの高温、そして凶暴化したオリジムシ……。
そもそも火山の周囲でこんな感染生物に出くわすなんて、火山が普通じゃないってことの証拠だよ。もしこの火山で源石が採れるなんてことになったら、採掘業者が山のように押し寄せてくるよ。
セイロン
この火山の正確な状況を把握している者は殆どおりません。普段は行政と関連機構が管理しておりますもの。
環境の変化が生物たちを凶暴化させた……。現状を過去と比較することで、現在起こりつつある異変がなんであるのか、予測することは可能でございますの。
そこで市民と都市の安全を確保するために、これらの事象に対して専門的な知見のある方を探しておりましたの。
そこで…といってはなんですが、このわたくしの力になっていただけませんこと? シエスタ市が今回の難関を乗り切るために。