8:31P.M.

p.m.8:52 天候/曇天
龍門スラム街
マフィアA
チッ! 命が惜しいなら吐け! 鼠王はどこにいる!?
スラム街の住民
し、知らない! 鼠王ってなんだよ……。本当に聞いたこともないんだ!
マフィアA
テメェ、逆らうと痛い目見るぞ——!
マフィアB
おい、カポネさんはカタギには手を出すなと……。
マフィアA
こんな汚ぇ奴がカタギだと? コソコソしやがって、ゴミみたいな感染者に決まってる! その化けの皮をはがしてやろうか!?
スラム街の住民
ま、待って! 殴らないでくれ! 本当に何も知らないんだ!
マフィアA
なんだよ口がかてぇ奴だな!?
スラム街の住民
うぐっ——ゲホッ、うぅ——。
マフィアB
行くぞ、こいつはもう放っておけ。胸糞悪ぃ。
名簿だと、次のジジィがいるところはそう遠くない。魚団子を売ってやがるってよ。生鮮売り場の向かいだとさ。
マフィアA
チッ、時間の無駄だった。
スラム街の住民
ぐ、はぁ——骨まで折れちまったじゃないか。あの——クソが——容赦なくやりやがって、がはっ!
絶対に……彼らに伝えなければ……。
マフィアA
そこの奴、止まれ。
ジェイ
……。
ワイフー
……何かご用ですか?
マフィアB
(待て、隣の男に気をつけろ。一筋縄ではいかねぇかもな。)
マフィアA
(地元のマフィアか? まぁ安心しろ、カポネさんからの情報によれば、みんな雑魚だってよ。)
おい、ちょっと聞きたいことがあってな。
誰も面倒事にはなりたくない、そうだろ? 素直に俺らの質問に答えてくれさえすりゃ、俺らは大人しく帰るさ。
ジェイ
……アンタの手、血がついてやすが。
マフィアA
なに大したことじゃない、話を聞かねぇゴミがね。
でもお前らみたいな善良な市民なら、当然協力してくれるよな?
ワイフー
脅しですか?
マフィアA
わかってるだろ。
ワイフー
ならお断りします。
マフィアB
……お断りだとぉ?
お嬢ちゃん、なにか勘違いしてるみたいだな。
それとも、お前もあそこの路地裏のゴミみたいに半殺しにされてぇのか?
ジェイ
ワイフー、さっき聞こえた悲鳴は……。
ワイフー
あなたたち、今、「ゴミ」って言いましたね?
念の為に重ねて質問しますが、それはここの住民のことを言ったのですか?
マフィアA
お前の無駄話に付き合ってる暇はねぇんだよ、さっさと——。
マフィアA
て、抵抗する気か!?
おいお前ら、かかれ——。
マフィアA
なにっ!?
ワイフー
さぁ次。
いえ、いいです。どうせあなたたちは能無しの下っ端ですし、まとめてかかってこい!
古今東西、悪の栄えた試し無し。罪なき人に狼藉を働く、あなたたちのような卑劣な三下など、取るに足りません。
マフィアB
ど、どういうことだ!? このアマの動き——?
マフィアA
ならクロスボウを——。
ジェイ
……待ちな。
マフィアA
ぐっ! 手を放せ! このクソ野郎!
ジェイ
えーと、アレだ。おめぇらなんぞ、停電して三日経った冷蔵庫の中の腐ったウニと同じなんだってぇの。
マフィアA
な、何言ってやがる?
ジェイ
……やめやめ。俺がワイフーの真似して口上並べようとしても締まらねぇ。手だけ動かすのが一番だわな。
なぁ。
マフィアA
ち、力、強っ。待て! 待ってくれ! ちぎれる! ちぎれる!
ジェイ
おう、武器捨てて、ここから失せやがれ。
マフィアA
わ、わかったから、手を放せ!
ジェイ
……でもやっぱ脱臼させといた方が良いかもな。アンタそんな危ない武器持ってるんだしよ。
マフィアA
ひぇえ! よ、よくもぉ——。
マフィアB
クソッ、なんだよコイツら。この辺にこんなヤバい連中がいるなんて聞いてねぇぞ!
マフィアA
チッ、ひとまず引くぞ。
テメエら、どこのファミリーか知らねぇが、覚えてろよ! くたばれクソ龍門人が!
ジェイ
いや、だから俺は裏社会の人間じゃねぇんだがな。なんでみんな見た目で判断するんだかね……。
ワイフー
そんなことはどうでもいいです。急いでやられた人を助けに行かないと。私はあの辺りを見てきます!
ジェイ
へいへい。
ジェイ
じっとしてな、助けに来たぞ!
スラム街の住民
ジェイ坊か?
ジェイ
よかった。内臓まではやられてねぇみたいだ。落ち着いて、医者を呼びに行ってきやすから。そう遠くはないはずなんで。
スラム街の住民
ジェイ坊! 俺のことはいい、お前は董の親父さんを探しに行け!
奴ら次の目的は親父さんだ!
ジェイ
——っ。