狩猟

クラウンスレイヤー
……奴らの処遇を任せろ、だと……?
どういうつもりだ、メフィスト。
???
僕がどういうつもりでも、君に断る理由なんてないと思うけど? 彼らは偶然紛れ込んできた虫けらでしかないんだし……わざわざ君が追いかけることもないでしょう?
ほらほら、情報はちゃ~んと僕の部下たちが受け取ったから、君の仕事はここまでだよ。
わかったら、持ち場に戻ってくれるかな? 君の担当は中枢区画のエネルギーエリアとその周辺って決まってるんだし……
クラウンスレイヤー
チッ、余計な真似を……!
???
何より、君にはまだ仕事が残ってるはずだよねえ?
クラウンスレイヤー
――!
……もういい、好きにしろ。
せいぜい惨めに負けるがいいさ。
???
アハハ、言ってくれるねえ。
クラウンスレイヤー
――行くぞ、お前たち。撤退だ。
レユニオン構成員
――了解。
アーミヤ
……彼女のほうは、撤退するようですね。部隊の一部を率いて去っていきます……
ドーベルマン
……あの小僧、一体何のつもりだ?
だが、なんにせよ……敵はまだ、我々の数倍はいる。全員、警戒を緩めるなよ。
???
やあやあ。クラウンスレイヤーが失礼な態度を取ったようで、すまなかったね。彼女に代わってお詫びしよう。
メフィスト
……っと、いけない。先に自己紹介をしなくちゃね。僕のことは、メフィストと呼んでおくれよ。
ドーベルマン
……何が目的だ。
メフィスト
ああ、君たちに構う理由を聞きたいのかな? だったら、組織としての答えは「特になし」だね。君らは今回のターゲットには含まれてないし、逃がしてあげてもいいくらいさ。
アーミヤ
であれば、どうして……
メフィスト
それはもちろん――個人的に、君たちの戦い方に興味を持ったからだよ。
ロドスの作戦と人員配置は、本当に面白いんだもの。
医療オペレーター
……「面白い」、ですって?
戦いを……殺し合いを、本気で面白がってるの……?
メフィスト
あっ、そうそう、君たちの資料には目を通させてもらったよ。
初めは、てっきり普通の製薬会社だと思ってたんだけど……
こうして見るに、君たちの仕事は、試験管と向き合うだけにはとどまらないみたいだよねえ。
となれば――ただ逃がすだけじゃ面白くないだろう?
どうだい、諸君。ここは一つ、僕とゲームをしてみないか?
ドーベルマン
……断る。ままごとに付き合っている暇はないのでな。
(小声)――構えておけ、アーミヤ。強行突破になりそうだ。
(小声)奴の注意は私が引いておく。
アーミヤ
(小声)は、はい!
メフィスト
……信号弾? おやおや、何の合図かな?
ドーベルマン
さてな。聞き分けのないガキに教鞭を執る趣味はないんだ。
(小声)――アーミヤ?
メフィスト
やだなあ~、大の大人がそんな言い方するなんて。言葉遣いには気をつけましょうって習わなかったの?
ドーベルマン
貴様らのようなクズがこうも増えてこなければ、汚い言葉を学ぶ必要もなかったんだがな。
(小声)……どうした、何があった?
アーミヤ
(小声)撤退ルートが封じられました……! あれは、彼の率いる部隊のようです……!
ドーベルマン
(小声)何……? この数分のうちに、か……?
メフィスト
良くないなあ~。実に良くない。
僕は心から、精一杯のおもてなしをしようとしているのに……
お客様である君たちが、黙って逃げ出そうとするなんて――
メフィスト
――そんなの、ひどい仕打ちじゃないか?
ドーベルマン
チッ……
メフィスト
アハハッ、そう身構えないでよ。ちゃんと逃がしてあげるからさ。……僕とのゲームに勝ったら、の話だけどね。
ルールは簡単。僕の「友達」が、君らを八つ裂きにしようとするから――
メフィスト
最後まで生き残りさえすれば、君たちの勝ちだ! どうだい? わかりやすくていいだろう?
ドーベルマン
――Ace!
Ace
こっちの準備はできてる! だが、無理やり突破するにしても――
まずはこの包囲網のスキを見つけんことには、話にならんぞ!
アーミヤ
ッ――
すぐそこまで天災が迫っているのに……なぜこんなことをするんですか! 早くここから離れないと、全員――
メフィスト
なぜって……そんなの決まってるじゃないか。
メフィスト
天災が迫る今こそが、命懸けのお楽しみにはぴったりだからさ。
アーミヤ
……! なんてことを……!
メフィスト
……さてと。それじゃ始めようか、ゲストの皆さん。――君たちを僕のゲームにお招きすることができて、本当に光栄だよ。
レユニオン構成員
ゥア……ァア……!
こ、ろす……ッ! お前、たち……殺して、やるッ……!!
ドーベルマン
っ、何か妙だ……! 気をつけろ!
メフィスト
おっと、忘れるところだった。もう一つ、伝えておかないとね。
君たちが中枢区画でしていたこと……僕らにはお見通しだよ。
アーミヤ
――!
メフィスト
そこにいる、顔を隠した誰かさんを連れ出すために、あんな真似をしたんだろう? ……実に興味深いなあ~。
アーミヤ
っ、何を……
メフィスト
僕と違ってクラウンスレイヤーは、君たちがどこへ向かい、何をするのかということにしか、興味がなかったみたいだけど……
あくまで僕個人としては、別のことが気になっていてね。
それは何かと聞かれたら――この状況で、わざわざ連れ出されてきた人物……そう、君のことさ。
見たところ、僕たちとはどこか少しだけ違うみたいだし……君は誰なんだ? 一体どこから来たんだい?
それに――そもそも、あの施設に生命維持装置があったなんて……どんな機械なのか気になってしまうなあ。
考えれば考えるほど、興味をそそられることばかりだよ。
……そうだ、いいことを思いついた! 一つ提案なんだけど……
ここを通してあげる代わりに、その人を僕に渡してもらうっていうのはどうかな?
そうすれば、残りの人たちは見逃してあげるよ。ちょっともったいないけどね。
アーミヤ
ッ……! ドクター! 私の後ろへ!
――あなたのことは、私がお守りします!