暴君
ドーベルマン
はぁ、はぁっ……はぁ……
ニアール
よし……! 今のところ、順調に進んでいるな。
我々はレユニオンを退けることに成功し……
この天災も、収束傾向にあるようだ。
とはいえ、状況の悪さに変わりはない。……皆、改めて気を引き締めてくれ!
アーミヤ
……それにしても、天災のせいで街中瓦礫だらけですね……
建物が崩れて、道を塞いでしまっていますし……
ドーベルマン
その上、源石の増殖も見受けられるな……
脱出まであと一息だというのに、ここに来て邪魔ばかり入ってくるとは……
もし、我々に――
……待て、これは……
Ace
——
来ているな……
前衛オペレーター
えっ……? 来てる、って……
レユニオンですか? まさか、もう追いついてきたとか!?
医療オペレーター
……あ……!
れ、レユニオンが……あんなに、たくさん……
ドーベルマン
……「追いついてきた」わけではない。
あの連中は――
ニアール
――至る所に潜んでいたんだ。
ドーベルマン
見ろ、そこら中の廃墟から這い出してくるぞ……!
クソッ、なんて数だ……
しかし、これを見るに、あの連中が、実際に死の危険に晒されるまで天災を恐れなかったのも頷ける……!
仮に、この天災が……
奴らの半数以上の命を奪ったのだとしても――
ここにはまだ、我々を十数回は討ち果たせるほどの戦力が残っているのだから……!
ニアール
――だが――
足を止めてはならない! 撤退ルート通りに進むんだ!
開けた場所で立ち止まっては、いい的になる! 隊形を整えるにしても、広場の出口まで到達したあとにするんだ!
アーミヤ
ニアールさん……
ニアール
――こうなれば、戦闘は避けられん。突破口を開き、混乱に乗じて脱出するしかないだろう。
アーミヤ
本当に、うまくいくんでしょうか?
ニアール
望みは薄いかもしれないが、ほかに方法はない。それに……
多勢に無勢の状況ながら、個々の力量でいえばその差は歴然だ。――我々ロドスにも、勝機はある!
総員、慌てず戦闘に備えよ! 防御陣形に移れ!
ドーベルマン
……それにしても……
この人数を前にすると……チェルノボーグを落とすことも、確かに不可能ではないと思わされる。
ニアール
……本当に……
とてつもない数だ。
レユニオンは……一体どこから、こうも大勢の感染者たちを集めてきたのだろうか?
ドーベルマン
しかし、ここへ来てこの包囲網とは……
どうやら連中は、我々の実力を相当買っているらしいな。
前衛オペレーター
ッ、報告! レユニオンの大軍勢に……広場を包囲されました!
……って、あれ……? 敵の動きが止まって……
……
アーミヤ
! あっ……
前衛オペレーター
しょ、正面から一名、レユニオンが接近中!
なんで一人なんだ……? どういうつもりで……
もしかして使者、か……? いや、そんなはずが……
アーミヤ
あの人は……
レユニオンの資料で、見たことがあります……!
ニアール
――!
このにおいは……彼女のほうからか。
ドーベルマン
……ニアール……?
ニアール
私にも、理由まではわからないが……
ニアール
これは、鉄と硫黄のにおいだ。
まるで何かが燃えているような……
あたかも、彼女自身が焔であるかのような……
アーミヤ
――ロドスのみなさん……最大レベルの警戒を。
目の前の、彼女は……
ドーベルマン
レユニオンの「暴君」……
アーミヤ
……タルラ。
タルラ
……
…………
ニアール
大地のすべてを焼き尽くさんとする、焔そのもの……か。