言い淀む

ロドスのオペレーター
正面から戦ってみましたが、レユニオンは意外と脆弱なものなのですね。
チェルノボーグを陥落させ、いくつかの小隊を壊滅に追い込んだということで、もう少し強大な軍事力を有しているものと思っていました。
任務の概要ですが、特に問題ないようです。レユニオンの実力はあの程度ですから、あとは問題があるとすれば、敵の狙いが殆ど把握できていないというところですね。
チェン
油断は禁物だ。レユニオンはこちらの意表をつくことで戦いを優位に進めるのに長けている。
潜伏や奇襲、特殊な力を利用した拠点攻め、どれもが奴らの常套手段だ。敵が何を隠しているかは、想像もつかない。
ロドスのオペレーター
肝に銘じておきます。強大だったチェルノボーグや龍門でさえも彼らに襲撃を受けて窮地に陥っています。彼らは数としては予想を遥かに超えるものなのかもしれません。
ところでチェン隊長、アーミヤさんと一緒にチェルノボーグへ偵察に出ていたと聞いておりますが、アーミヤさんの部隊がまだ帰還しない理由は聞いておられますか?
チェン
……すまない。
ホシグマ
(チェン隊長……)
チェン
アーミヤの部隊とは、はぐれてしまったんだ。合流も叶わず、緊急事態に遭遇して撤退することしかできなかった。
ロドスのオペレーター
えっ……つまり…あなたたち近衛局はアーミヤさんとドクターを廃都市に置き去りにしたと?
チェン
そうだ。
ロドスのオペレーター
アーミヤさんとドクターの生死も不明ということですか?
そんな、チェン隊長……
近衛局を率いるあなたが居たのに、どういうことですか! 近衛局は仲間を見捨てるのを良しとする組織なんですか!
チェン
……すまない。全責任は私にある。私が龍門の安全を優先して行動した結果だ。
ロドスのオペレーター
全責任って……そんなもの明らかにしたところで、どうしようもないじゃないですか。……分かりました。もういいです。
やはりこれが感染者に対する龍門のやりかたなのですね……
チェン
そういう意味で言ったのでは――
ロドスのオペレーター
構いませんよ。さて、どれだけ人員が必要ですか?あなたに力を貸すというオペレーターもいるでしょう。ただ私にはできかねますがね。
ええ、任務ですからね。龍門と協力しレユニオンを打ち破るというのも我々の任務の一つです。
私はロドスの小隊を連れて別行動を取ります。私たちの識別コードを覚えておいてください。感染者だからと、攻撃されたらたまりませんから。
チェン
……わかった。
近衛局と行動しても良いという者がいれば、私に教えてくれ。
――無理にとは言わない。
ホシグマ
先程のミス・スワイヤーとのやり取り、扉の外に聞こえるほどの大声で喧嘩し、ロドスに暗に助けを請うことで協力関係を深めるためのものではなかったのですか?
どうしてロドスの方と対面してから、突然考えを変えたのですか?
チェン
それは違う、ホシグマ。私に初めからそんな気はなかった。
ホシグマ
……そうなのかもしれませんね。表情も先程よりずっと和らいで見えますし、こちらが本心なのですね。小官も見ていて気が楽です。
小官が彼の立場でしたら、同じようにカッとなると思います。あのロドスの戦士がまだ話のできる方で良かった。
しかし、一刻を争う状況であったとは言え、小官にも分からない部分があります。今までの隊長の指揮方針ならば、アーミヤさんたちを置き去りにするなんて考えられません。なぜですか?
チェン
不確定要素が多すぎた。
廃都市の地形は近衛局の戦術には適していない。そしてあの場所にいるレユニオンの実力も不明だった。我々の部隊は今その様なリスクを負うわけにはいかないんだ。
ホシグマ
やはり隊長らしくないお言葉ですね……
チェン
……ホシグマ、我々の行動は正規の命令に則ったものだ。
ホシグマ
隊長のご命令とあれば、その内容に疑問を挟むことなく遂行いたします。ですが…もし可能であれば、隊長直々にご説明いただきたいのです。ミス・スワイヤーからそれを伝え聞くのではなく……
チェン
状況が成立するまでは、具体的な命令内容は機密事項だ。
ホシグマ
つまり、ウェイ長官が直々に下した命令だと、そう理解してよろしいですか?
チェン
好きに推測すればいい。
ホシグマ
今になっても、隊長たちの具体的な目的が見えてきません。龍門で近衛局にその様な命令を下せる者はいません。
ただ一人、ウェイ長官を除いて。
ウェイ長官は素晴らしい人物だと思いますが、心から敬服することはできません。今日起きたことの原因の根幹が長官だと思わざるをえません。
チェン
ホシグマ、これは龍門のために必要なことなんだ。
ホシグマ
そうやって自分を納得させているだけでは?
隊長……あなたは本当はご自分でも本心の部分では納得できていないから、そうやって自分を騙しているのではありませんか?
チェン
ああ、そうなのかもな……
チェン
スワイヤーにつないでくれ。
近衛局員
……了解。
スワイヤー
もしもし?
チェン
スワイヤー、こちらはすでにロドスを離れた、そちらも行動を開始してくれ。
スワイヤー
さっきは言いたいだけ言ってくれて、さぞかしいい気分かしら?
チェン
我々は仲が良いとは言えないが、最悪ではないはずだ。先程は少し大げさに言ってしまったが。
スワイヤー
あらそう。でもアタシはいい気分だったわ。
チェン
お前というやつは……
スワイヤー
はいはい、もう止めましょ。それにしても変じゃない? アタシたち二人には自分の任務しか知らされてない、お互いの任務はまるっきり不明なんて。
それに、ちょっと耳にしたんだけど、どうしてロドスに助けを請わないの? まさか何かの贖罪のつもり?
チェン
ロドスの力を信じているからだ。アーミヤとドクターのこともな。
だからこそ、ロドスには今の状況に深く介入してほしくないんだ、彼らの介入は不確定要素にしかならない。
特にあのケルシーだ……我々との協定に従って行動するとは思えない。
スワイヤー
ふーん、アタシはまだ会ったことないけどね。
チェン
会う必要もない。ただ少しお前の祖父に似ているな。それにあちらはお前の祖父と違って人工呼吸器をつける必要もないから余計にタチが悪いぞ。
スワイヤー
あらあら。それはまた……
チェン
とにかく各自行動開始だ。私は先に人捜しをするつもりだ。
スワイヤー
まぁ好きにすればいいわ。ただ時間だけは気にしておきなさい。
チェン
ホシグマ、行くぞ。
ホシグマ
ハッ、どちらへ?
チェン
モクカ倉庫だ。