苦境
メフィスト
何なんだ……この、女は……
ニアール
――その指揮、見るに堪えんな。
レユニオンがチェルノボーグの軍事拠点を制圧した際、その構成員たちは、精密機械のように効率的な動きをしていた。
だが、それに対して貴様のやり方は、半ば錯乱状態の部下を無秩序にのさばらせているだけ……
虐殺、放火、そして狩猟に見立てた残酷な行為の数々……これらはすべて、貴様の残忍な嗜好を満たすためだけのものだろう?
この状況でこうした蛮行を働く人間に、都市のすべてを陥れるほどの策など、もたらせるはずもない。となれば、指揮官はほかにいるはずだ。
その人物は恐らく、貴様に戦場のかく乱を命じたのだろうな。そしてその命の元、貴様は己の低劣な趣味に突き動かされて暴走した、というわけか。
メフィスト
……
――ファウスト。
あいつを黙らせてよ。
ファウスト
……了解。
ニアール
ッ!
ニアール
くっ、今のは……
アーミヤ
――ニアールさん!
ドーベルマン
全員、構えろ! あの狙撃手……かなり手強いぞ!
いくらニアールでも、もう一撃食らうのはまずい……!
アーミヤ
下がってください、ニアールさん!
ニアール
――いいや。今退くわけにはいかない。あの尋常ではない威力……あれが直撃すれば、部隊は壊滅的な被害を受けることになる。
ゆえに――私はここへ立つ。皆を守り抜いてみせる!
メフィスト
……ファウストの砲撃が、防がれた……? たった一枚の盾如きで……!?
メフィスト
ありえない……そんなのありえない!
……もう一度だ。もう一度やろう、ファウスト! あいつをバラバラにしてやるんだ!
ファウスト
――――
ニアール
っ……!? ――右か!
ドーベルマン
いかん! ニアール――
Ace
――そうはさせんぞ!
アーミヤ
Aceさん!
Ace
狙撃オペレーター、構えろ!
目標、南方の高台! 撃てッ!
ファウスト
……ッ!
メフィスト
何っ……!? お前ら、よくも……!!
アーミヤ
命中、したんでしょうか?
Ace
そう簡単にはいかんだろうな……今のはあくまで、ちょっとした時間稼ぎさ。
とにかく、急ぐぞ! 連中に構っている暇はない!
ドーベルマン
同感だ! モタモタしていると、あの一撃をもろに喰らうことになりかねんからな……!
ニアール
アーミヤ! E3小隊が食い止めているうちに、打って出るぞ!
アーミヤ
了解しました!
――E1小隊の狙撃オペレーターは、私と一緒にレユニオンへの牽制を!
E2小隊は、最大火力で包囲を切り崩してください!
メフィスト
……どうして……
どうして素直に死んでくれないんだ……?
お前たちの命運なんか、とっくに尽きてるはずなのに……
――こうなったら、全員まとめて――
Ace
ニアール、今だ!
ニアール
了解! ――E4小隊に告ぐ! これより敵陣へ突入する!
一気にたたみかけ、皆の道を共に切り開こう!
――行くぞ、私に続け!
レユニオン構成員
撃て! 撃てーッ! 奴を近付かせるな!
? 待てよ、いつの間に近付いてき――
なっ……!? う、嘘だろ!? さっきまでもっと遠くにいたはず――
ひっ、やめ――うわあああっ!
ニアール
甘い! カジミエーシュの騎士を本気で相手取るつもりなら――あと数十年は訓練を積んでもらおうか!
ニアール
――さあ、ドーベルマン! 私についてきてくれ!
ドーベルマン
了解!