推定無罪
ミーシャ
……ふぅ……
……ここに隠れておけば、きっと見つからないよね。
代わりに、あの子たちのところには戻れそうにないけど……
……無事でいてくれるといいな……
はぁ……どうしてこんなことになっちゃったんだろ……
……!
そこにいるのは誰?
アーミヤ
……すみません、脅かすつもりはなかったのですが……
アーミヤ
あなたが、ミーシャさんでしょうか?
ミーシャ
……えっ?
ミーシャ
……
アーミヤ
先ほどは驚かせてしまってごめんなさい。
そうだ! お二人のことも、ご紹介しないといけませんね。こちらがフランカさん、そしてリスカムさんです。
フランカ
よろしくね~。
リスカム
初めまして、よろしくお願いします。
アーミヤ
では、改めて……私たちはロドス・アイランド製薬という、感染者向けの医療提供などを行っている組織なんです。
その活動の一環として、あなたさえよければ、力になれたらと思っているのですが……少し、お話をしませんか?
ミーシャ
お話……?
アーミヤ
はい。
とはいえ、あなたの安全が最優先ですから……
場所を移して、ということにはなりますが。
もちろん、その間は私たちがお守りしますから、ご安心ください。
ミーシャ
一体、何を……
……あっ。も、もしかして……
そんなこと言って、私を捕まえるつもり!?
来ないで! わ、私の爪は、すっごく鋭いんだからっ……! 近付いてきたら、怪我するよ……!!
フランカ
……ぷっ。
ミーシャ
な、何がおかしいの!?
フランカ
だって……本当に捕まえる気があったら、とっくにやってるもの。抵抗のチャンスなんて与えずに、ね。
ミーシャ
……!
アーミヤ
ミーシャさん……我々は本当に、あなたの力になりたいんです。
ミーシャ
……そんなふうに言われても、信じられないよ……
龍門が感染者をどう扱うかは知ってるでしょ!? 犯罪者より厳しいくらいなんだよ!
それなのに、感染者を助けたいだなんて……そんなこと、あるはずないじゃない……
アーミヤ
……
アーミヤ
――ミーシャさん。これを、見てもらえませんか。
ミーシャ
え……?
ミーシャ
! その手……
まさか、あなたも……
感染者、なの……?
アーミヤ
はい。あなたと同じ、感染者です。
アーミヤ
……実は先ほど、あなたを慕う子供たちに出会ったのですが……あの子たちに限らず、このスラム街にはたくさんの感染者がいるようですね。
ミーシャさん。……あなたの行動が、みなさんを危険に晒すかもしれないということは、お考えになりましたか?
ミーシャ
……あの子たちをだしにして、私を脅そうって魂胆?
アーミヤ
いいえ、そんなつもりはありません。……けれど、そういうことを企む人はいるものです。
現に私たちは、そんな人たちを追い払ってきたところですから。
ミーシャ
……!
アーミヤ
そういったこともあり、我々としては、追手が来る前にあなたを保護したいと考えています。
あなたがここを離れることで、子供たちも脅威を免れることができるでしょうし――
あなた自身の安全を守ることもできますから。
ミーシャ
……あなたは、あいつらが私を捕まえたがる理由を知ってるの?
っていうか、そもそも……どうして私を守ろうとしてくれてるの?
アーミヤ
感染者たちがあなたを追う理由は、私にもよくわかりません。
一方で、後者の理由は簡単です。現状これが最善策ですし、罪のない感染者を守ることは、我々にとって当然ですから。……と、言って信用していただけると嬉しいんですが……
ひとまず、一緒にここから離れませんか?
ミーシャ
……
……わかった……行くよ。
どっちみち、選択肢なんてないんでしょ?
アーミヤ
そういうわけではないんですが……
……でも、ありがとうございます。ミーシャさん。