時間の先で

ドクター、まだ詩集を選んでいるの?
いいえ、なんでもないわ。ちょうどある詩を思い出してね、それも中に入れていいかもしれないと思って。
聞いてみたい?
そう……これがあなたの一万年にも及ぶ旅路だったのね。
私はあなたをどう捉え直すべきかしら、AMa-10……
それとも……ケルシーと呼ぶべき?
あなたの行動は、源石計画に少なからぬ障害をもたらしたわ。けれど、あなたの視線を追うことこそが、今のテラ文明を理解する一番の近道なのかもしれないわね。
なるほど……
PCSシステム、「保存者」の生命維持ポッド、生き残った巨獣、損壊したスターゲート……いくつもの壊れてしまった遺物が、こんな形で新たな文明を創り上げていたなんてね。
予想外の結果だけれど、あまりにも荒唐無稽でむしろ面白いくらいだわ。
でも最も重要なのは、源石がそれらの生命の在り方を変え、彼らを私たちの文明とよく似た道へと導いたことよ。
ドクター、タロⅡから生命の火種を呼び寄せたのはあなたの独断だったけど、この結果はあなたの期待通りかしら?
見えたわ……
原始的で危機から遠く離れた環境が、生命に野性的な成長の余地を残し、様々な形の文明へと進化させた。これは、失われた時代には久しく見られなかった光景ね……
それが感動的な出来事であることは、理解できないわけじゃない。
けれど、まさか……本当にたったそれだけのことだと言うの?
あなたは覚えていたはずよ。大きな希望を託された計画が、終末の中で何度灰燼に帰してきたか。同胞たちが、終極の闇を打ち破るためにどれだけの犠牲を払ってきたか。
ただでさえ残り少なかった希望が際限なくすり減らされていく様は、極めて残酷なものだったわ。
それに比べて、このちっぽけな星で、未だに言語や文化が隔たりを生み、政治によって戦争が引き起こされているような原始的な文明を……どうして「希望」だなんて呼べるの?
私にはわからないわ。一体何があなたをそれほど納得させたのかしら……
そうだったのね……
文明が荒廃した長い時の中で、偉大と呼ぶに値する瞬間が痕跡を残していたのね。まるで、あっという間に燃え尽きる恒星のように。
なんてことかしら。ルゥはすでに自身の無邪気な計画に固執していないし、フリストンでさえ、希望を明け渡す道を選んだなんて。
AMa-10、これがあなたの未練なのね?
そして、これがあなたの理由なのね……ドクター。
彼らの文明の中に、かつての私たちにも似た、抗う姿を見た……ただそれだけ?
それじゃ足りない。全然足りないわ。
あなたのその感情は理解できるわ。けれど、彼らの存続のために私が道を譲る理由としては不十分よ。
私たちに残された時間は限られているの。源石の成長にはもっと多くの土地と時間が必要なのに、終末はもう目前まで迫っている。
もし……もしあなたが、彼らならいつか必ずあの帳すら引き剥がせると信じているのなら、彼らは目の前のこの取るに足らない障害くらい乗り越え、自身の限界さえも超えてみせるべきよ。
さあ、存分に証明してみせて。